ベルギー人と日本人1997.11.16.

ご存じの方も多かろうと思うが、ベルギーは日本と同じく立憲君主制で、ベルギー王室は日本の皇室とも親交が深い。
先日、ベルギー人の友達と話していて、王室の話題になった。
「王室を尊敬しているか?」
と聞いたところ、相手は間髪入れずにウイと答え、自分は積極的な王室支持派だと胸を張った。

「ベルギーは小国ながら民族や言語の紛争があったりして大変だけど、国王のことは誰もが皆尊敬しているし、国民は王様によって統合されているんだ。」
と彼は言った。

確かに、この国の王室に対する畏敬の念は強い。切手はすべて国王陛下の肖像だし、公共施設には国王ご夫妻の御真影が飾られていることが多い。ブリュッセルのサッカースタジアムにはボードワン前国王陛下の名前が冠されている程である。
彼は、「日本はどうなんだ?」と聞いてきた。筆者はこういう質問を予期しつつも、ちょっと回答に窮してしまったが、こう答えておくに留めることにした。そして、相手の反応をうかがうことにした。

「皇室は一般に国民の尊敬を集めている。だが中には、天皇や皇室といった階級を認めず、"平等"をことさらに強調する人たちもいる。例えば、国旗は天皇崇拝の象徴だと言って燃やしてしまう人がいたりするし、天皇から勲章を貰うのはイヤといって辞退する『民主主義者』もいる。」

彼はしばしの沈黙の後、怪訝そうな顔をして呟いた。
「おい、それって共産主義じゃないか?」

まさに至言である。